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『プライド』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

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何もかもを無視して、取敢えずストーリーを展開させ、盛り上げようと言う作り方に空しさを感じた。波乱万丈の30分連続テレビドラマの世界がものの見事に、そこにはある。

 2人の声楽家が主人公なのだが、最悪なことに品がなさ過ぎる。役者の問題ではなく、演出上で、それを求めていないのだろうとは感じるけれど、さすがに呆れるしかなかった。

 テニスの選手は品格を求められると聞いている。スポーツといえども、その歴史から来る最低限の常識や教養を必要とするのだそうだ。

 2人のこれから生きようとする分野は、遥かにそれらを求められる世界ではないかと思う。

 話の面白さを追求する余り、土台となる部分をあっさりと「無し」としてしまった映画に、救いはないように思う。

 原作が漫画ではあるが、映画の作り手は漫画を悪い意味で隠れ蓑に利用したとしか思えない。

 「嘘」もここまでくれば、ある意味評価すべきなのかもしれないが・・・。

 極端な性格設定、状況描写、観ていて悲しくなった。突拍子もない行動に、殆ど裏付けがなく、気まぐれと思いつきと、欲だけで生きているのだろうか、誰一人として、生活感が余りにもないのだ。原作のせいには出来ない、悪意の意図すら漂ってくる、美術の薄ら寒さも漂う。

 まっ、「夜の女王のアリア」が、あんなに笑いを誘う、喜劇ぽい楽曲に聴こえたのも、それはそれで、凄いことなのかもしれない。


映画『プライド』の予告編

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