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『夏時間の庭』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

夏時間の庭2.jpg

 監督のやりたいことは、わかるんだけれど・・・。

 浮世離れした老婦人、生活に忙しいその子供たち、ただそこにいるだけで「希望」という言葉が漂ってくるような孫たち。

 映像は美しくも、寂しく。物語は留まれない時間に、音もなく、あっさりと流されてゆく。

 とても、静かで淡々とした映画なんだけれど、いろいろなことを含んでいるのではないかと思わせるエピソードとか、ひとつずつ画面の中にパズルのように嵌め込まれていく様子を見せられている感じがする。

 映画なんだから、もう少し、メリハリをつけた展開というか、構成が必要なんじゃないかと、つい思ってしまう。たった一つのショットで、作品って不思議なほど、引き締まったりするんだから・・。

 でも、この作品は、登場人物たちの思いと重なるように、どこか諦めて前に進むしかないと、呟くように綴られていくだけだったりする。

夏時間の庭.jpg


 舞台となる家も、小道具も、映像も、演出の間合いも、全てが、監督の思いのままに、映画の中に並べられていて、この配置、このバランスって、ちょっと素敵でしょ、なんて思って映画を作っているのかな。小道具じゃないですよ、ブロットの流れが、です。

 遠いフランスの、お話。どこか嘘っぽくて、でも何故かリアルであろうとする意図が、私は煩わしく感じたりした。

 この映画と私との不思議な微妙な距離感って、何なんだろうと、観ている間中、感じていた。


夏時間の庭 日本版予告編 L'Heure d'été


 登場する美術品に対して、ため息がつけたり、思いが溢れたりする人なら、その溝は埋まるとでも言うのだろうか。

 懐かしさと、今らしさと、でも縮まらない、その皮膚感。

 でも、やはり、監督は、その相容れない疎外感とやるせなさを狙っているんだろうなあ、とは思う。

 「これぞフランス映画!」とは思わないけれど、やっぱりこれって、フランス映画以外の何ものでもないんだよね、って、どこか諦めながらも、認めざるを得ない。舌足らずだけど、監督の思いが、隙間から零れてくる映画。

 もしかしたら、久しぶりに、歴然としたギャップを誇らしげに誇示する、「外国映画」を堪能していたのかもしれない。




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丹下段平

今年劇場で見損ねた作品で気になっている一本です。ジュリエット・ビノシュの映画も久しく観てないし、ちょっと心残りでした。レンタルショップにあったら借りてみたいと思います。
by 丹下段平 (2009-10-08 01:18) 

SOSEGON

静かに淡々と、てのは世界的な傾向なんですかね。
最近の邦画もそんな感じが多い気がします。
僕ぐらいの年齢の者にはいいのかもしれないけど、
「退屈だった」と云っているのは、たぶん若い人でしょうね。

一方でアメリカでは、VFXを過度に使いすぎた映画が多すぎて、
まるでアメリカンコミックのような映画が続々と作られています。
最近はこの手の映画は苦手です。
単に歳を取ったということでしょうか?

何気ない日常がテーマの映画、好きです。
当然この映画も、観たいです!


by SOSEGON (2009-10-08 06:01) 

よーじっく

丹下段平さん、こんばんはぁ(^^)/

ここら辺に位置する作品って、つい見損ねてしまう事が
私はよくあります。

この作品はちょっと意地になって観に行きました。

結構、アメコミ映画化作が好きなんで、ついアチラ寄りに
なってしまって、自分の感覚が心配でした。(^_^)

で、今回、解毒剤として私には特効薬でした。

胃腸薬を飲みながら、暴飲暴食していると言われそうですが
好きなものは仕方ないです。(^_^;)
by よーじっく (2009-10-09 00:48) 

よーじっく

SOSEGONさん、こんばんはぁ(^^)/

いつもありがとうございます。m(__)m

上のコメントにも書きましたが、私はドハデな
アメコミ映画化作が好きなんで、
ときどき、無性にこのタイプの作品が
観たくなります。

「退屈」というのは、こういう作品ではなくて
ただ華やかなアクションシーンを延々と
続ける、一部の娯楽作だと思います。

音も画面も凄いのに、ヒット作でありながら
睡魔に襲われた映画が何本もありましたよ。^_^;

飽きさせないで、静かに淡々と描かれた作品は
誰でも作れるわけではないと思います。
ヘタな娯楽作より難しいと思います。

だから、ここちいいんですよね。(*^^)v
by よーじっく (2009-10-09 00:59) 

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