『誰がため』 (2009)

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　デンマークの対ナチス・レジスタンスの構成員フラメンとシトロンを主人公に描いた、見応えある作品。

　ただ主人公は、上の組織からの指令を淡々と実行していくだけなので、政治的な主張や思想は、かなり希薄で、一種フィルム・ノアールぽい、クールで孤独感溢れる作風に仕上がっていたりする。

　それが、この作品の個性なんだろうけれど、映画全体から受ける印象とは、どこか微妙にズレている雰囲気があって、歴史の事実の重みみたいなものが、空回りしている気がしないでもない。

　ただそれが却って、孤独な暗殺者は、歴史の中でもやはり孤独であると言う、空しさからくるやりきれなさも醸し出している訳で、そこらあたりが、もう少しバランス良く描かれていたら、かなりの傑作になったのではないかとさえ思わせる要素は、充分持っている気がする。

　暗殺、組織、疑惑、しがらみ、見えない敵と見えない真実。この作品は、丹念に事実を描いていくのだけれど、その過程で浮かび上がってくる、戦争と歴史の矛盾に巻き込まれた人間の悲しさが、余りに客観的過ぎて、胸に迫った来ないもどかしさに、行き着いてしまう弱々しさを感じる。

　デンマークという国を余り知らない私などは、とりあえず地図で場所ぐらいは確認しなきゃ、なんて初歩的な行為に行き着いてしまうのは、何故なんだろう。地図の位置より大切なものが、この映画では描かれているはずなのに、それが遥か彼方の国の歴史の一齣みたいな印象しか残らないのは、何より惜しい気がする。

　事実を踏まえた上で、より作劇的であっても良かったんじゃないかと思う。映画と言うエンターテイメントを逆に利用して、歴史を(世界中の)観客に知らしめるのも、一つの手段として、充分役割は担えるような気がするのだけれど。

　何故か観た後、主人公たちの孤独感だけが残ってしまう寂しさは、この映画の魅力であるとともに、限界でもあるのは、惜しい気がする。

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チェック：ナチス占領下のデンマークを舞台に、過酷な運命に翻弄（ほんろう）されながらも戦い抜いたレジスタンスの闘士フラメンとシトロンの実話を描く感動作。本国デンマークで国民の8分の1を動員し、デンマーク・アカデミー賞で5部門を受賞。フラメンとシトロンを『天使と悪魔』のトゥーレ・リントハートと『007/カジノ・ロワイヤル』のマッツ・ミケルセンが演じている。デンマーク映画史上最大級の製作費をかけた壮大なスケールと、真実ならではの説得力ある感動が味わえる。

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ストーリー：第二次世界大戦末期。打倒ナチスを掲げる地下抵抗組織ホルガ・ダンスケの一員、フラメン（トゥーレ・リントハート）とシトロン（マッツ・ミケルセン）の任務は、ゲシュタポとナチスに寝返った人たちを暗殺すること。しかし、あることをきっかけに任務への疑問を抱き始めた彼らは、組織に対する疑念を膨らませるようになる。　 【シネマトゥデイ】　より

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映画『誰がため』 予告編

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『誰がため』 Official Site ☆ 『誰がため』＠ぴあ映画生活

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コメント 45

こういうタイプの映画は、
最終的に悲壮感にさいなまれながら終わるケースが多いですね。

ただし、こんなことが日常的に起こっていた時代が、
あったってことが大事なんです。

戦争映画は、悲惨さを伝えるだけで、
ある意味ひとつの役目を果たしているような気がします。
by SOSEGON (2010-03-17 07:26) 

色んな映画がありますね^^
by La_vbl_kok (2010-03-17 20:03) 

SOSEGON さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とコメントを、いつもありがとうございます。

この時代のお話は、年月が経っても作り続けられていて
どの国にも、色々なことがあったんだなと、思い知らされます。
この作品は独特の個性があって、印象に残る作品です。
by よーじっく (2010-03-17 22:10) 

La_vbl_kok さん、こんぱんはぁ(^^)/
普段、余り意識していない国の映画なので
そんなところにも興味を惹かれます。
世界も広いけど、ヨーロッパも確かに広い
今回の北欧は位置がわかりやすいけれど
東欧は全くわかりませんね(^^ゞ
コメントとnice!をありがとうございます。
by よーじっく (2010-03-17 22:15) 

＠ミック さん、こんぱんはぁ(^^)/
いつもご訪問とnice!、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-17 22:16) 

ちー坊 さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!、嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-17 22:17) 

mitu さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、いつも感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-17 22:18) 

PENGUING さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-17 22:19) 

月夜 さん、こんぱんはぁ(^^)/
こちらにも、ご訪問とnice!、嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-17 22:21) 

デルフィニウム さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、いつも感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-17 22:22) 

久遠 さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!、いつも嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-17 22:23) 

artfuldodger さん、こんぱんはぁ(^^)/
いつもご訪問とnice!、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-17 22:25) 

macky さん、こんぱんはぁ(^^)/
こちらにも、ご訪問とnice!を、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-17 22:26) 

kantoku さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!、嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-17 22:27) 

ロボライター さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-17 22:28) 

こんぱんはぁ(^^)/ xml_xsl さん、
ご訪問とnice!、いつもありがとうございます。
嬉しいです。(^'^)
by よーじっく (2010-03-17 22:30) 

kaoru さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、いつも感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-17 22:30) 

釣られクマ さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!、いつも嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-17 22:31) 

アイスっこ さん、こんぱんはぁ(^^)/
いつもご訪問とnice!、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-17 22:32) 

uduyuimama さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-17 22:33) 

nexus_6 さん、こんぱんはぁ(^^)/
こちらにも、ご訪問とnice!、嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-17 22:37) 

寅次郎 さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-17 22:37) 

ピンキーリング さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-17 22:38) 

suzuran さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-17 22:39) 

形は違っても時代に翻弄されてしまう二人。。。
時代ってこわいですね。今の日本は平和。
でも問題は山積しており、時代に翻弄されながら
生きている人は多いんでしょうけれど・・・
機会があったら観てみます。
ありがとうございました。
by スマイル (2010-03-18 01:29) 

こんにちは。
うちのブログに来てくださってありがとう。
映画の生い立ちについて書いています。現在のことではなく過去のことですが、興味がおありでしたら読んでください。
by sig (2010-03-18 11:12) 

スマイル さん、こんぱんはぁ(^^)/

主人公の二人は強い意志を持って、行動しているのですが
戦争の中では、その強い意志が、実際はどちらに向いている
のかさえ確かめられない、もどかしさがあります。

時代と共に彼らの行動への評価は変遷しているのですが
それさえも正しいかどうか、疑問に思えてしまうのが
「今」という時代の、頼りなさなのかもしれません。

コメントとnice!をありがとうございます。
by よーじっく (2010-03-18 20:37) 

sig さん、こんぱんはぁ(^^)/
コメントとnice!をありがとうございます。

映画の歴史は、アニメーションの歴史でもありますので
興味は尽きないですね。(^_^)
by よーじっく (2010-03-18 20:40) 

スー さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!、嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-18 20:41) 

おぉ！次郎 さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-18 20:41) 

亜彩美 さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-18 20:42) 

DAS さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!、嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-18 20:43) 

きっく さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-18 20:44) 

kakasisannpo さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-18 20:45) 

シンシン。 さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、いつも感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-18 20:47) 

これ、もうやってるんですか。観たいと思ってたんですが、まだこっちでもやってるかな（それともまだ？）。
でも生真面目そうな映画ですね。
by 丹下段平 (2010-03-18 22:32) 

丹下段平 さん、こんぱんはぁ(^^)/
コメントとnice!をありがとうございます。

主人公はかなりストイックな感じですが、
クールとまで、突き抜けられないところが
歴史の事実なのかもしれません。
ちょっと惜しいですね。
by よーじっく (2010-03-18 22:54) 

wing_14 さん、こんぱんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!を、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-18 22:55) 

toraman さん、おはようございます(^^)/
ご訪問とnice!、嬉しいです。
感謝です。m(__)m
by よーじっく (2010-03-19 05:38) 

momoさん、おはようございます(^^)/

ご訪問とnice!、嬉しいです。
ありがとうございます。！！！
by よーじっく (2010-03-19 05:39) 

薔薇少女 さん、 こんにちはぁ(^_^)/
ご訪問とnice!を、こちらにもありがとうございます。
嬉しいです。m(__)m
by よーじっく (2010-03-20 16:17) 

タッチおじさん、こんぱんはぁ(^^)/
こちらにも、ご訪問とnice!を感謝です。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2010-03-21 22:00) 

Cazz さん、こんぱんはぁ(^^)/
こちらにも、ご訪問とnice!を、ありがとうございます。
嬉しいです。(^_^)
by よーじっく (2010-03-21 22:08) 

(^_^)ノ こんばんは。
またまた深夜にお邪魔さまです(^_^ゞ
取りあえず自分らの出来ることを行動で示したい！ という気持ちはわかるにしても、組織の下っ端（と言ったら気の毒ですけれど）の哀しさというか・・・？
う～ん　虚しさ、儚さを感じてしまいましたが・・・
あんな二人が居た　ということを知っただけでも良かったな と思います(´m`)　
by Labyrinth (2010-04-12 02:59) 

Labyrinth さん、こんぱんはぁ(^^)/

今は再評価されているという、最後のクレジットが私には空しかった
ことは事実です。何が正解か、時間が経たなければわからない、
或いは、何度も評価が反転したりすることもあります。

戦争には、きっと、究極の正義と言うのは存在しないからなのだと
思います。信じられるのは、自分の限られた知識と勘ぐらいしかないと
いう極限状態に置かれた人間の悲劇なんだろうと思うと、本当に
空しさしか、残されていなくてやりきれなくなります。

あの二人がいたと言う歴史の事実が、大切なのかもしれませんし、
この作品の存在意義なのだと思います。

コメントとnice!をありがとうございます。
by よーじっく (2010-04-12 18:25)