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『わたし出すわ』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

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 こういう作品に出会うために、私は映画を観ているんだなって、素直に嬉しくなりました。まさにこんな作品が私は大好きです。

 『わたし出すわ』 という映画は、答えがいっぱいあって、どこに拠り所を求めたらいいのか、迷う人がいそうな映画なのかもしれません。

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 場内が明るくなったとき、隣に座っていたご夫婦だと思えるカップルの会話が聞こえてきました。男の人は「わけがわからない映画だな」、連れの女性は「お金も使い道が大切なのよって、いう映画でしょ」と話していました。

 きっと、どちらも正解だし、でもそうじゃないかもしれない映画。そういう意味では、滅多にお目にかかれない作品なんですね。

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 確かに、この映画は、お金についての、人生についての、人との関わりについて描いた作品なのかもしれませんし、余りに淡々とした出来事の羅列に、何を言いたいのかわけがわからないという人もいるかもしれません。

 お金をばら撒く山吹摩耶という主人公が、何を望んでそんな行動を取ったのか、映画を観終われば、それなりに理由も明らかにはなるし、登場人物たちもそれぞれ収まるところに落ち着いて、作品はエンドクレジットを迎えます。

 けれど私には結末は単なる箸休めみたいなオチに、感じられました。映画は、まだ終わっていないというか、観客は宿題を持ち帰らなければならないような、気持ちにさせます。

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 気が付いてみれば、余りにシンプルな「お話」だったりするのだけれど、反面、多くのことを含んでいて、解釈は観る人の判断に委ねるような、作り方をしていたりします。

 私は山吹摩耶というキャラクターに、「堕ちてきた天使」の「いたずら」を感じました。彼女がした行為は、周りの登場人物たちを試すみたいな「いたずら」、そして、観客をも「いたずら」で煙に巻こうとします。

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 ラスト、彼女が小さく纏まった結末へと吸い込まれていく姿は、なんとも象徴的に、私の目には写りました。

 実際、この映画の解釈にも正解は無いし、人生にも正解は無い。だから生きているって、面白いんだって、素直に思いました。

 監督は、とっても冷ややかに、観客に「いたずら」を仕掛けたのかもしれません。

 彼女が差し出す金額が、余りにとんでもない額であるゆえに、観客を混乱させ、不安を感じさせる。「いたずら」にもほどがある仕掛け、というか一種のファンタジーの域にも届いてしまいそうな「お伽噺」。

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 私は、ゆったりとして静かに、観客を迷わせる作品が好きです。きっと、監督はスクリーンの後ろで舌を出してニヤニヤしているのかもしれません。


「わたし出すわ」を観る前に

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SOSEGON

果たして他人のお金でしあわせになれるのか?
彼女はどうしてそんなにお金を持っていて、
しかも友人たちのために使うのか?
そのあと彼女はどうなるんだろう?・・・・・・・

興味が尽きません。
とっても楽しみにしている映画です。
今の僕は、お金への執着がないので、
いったいどういう風に感じるのか、ほんと楽しみです。

邦画も面白くなったもんだなぁ!!

by SOSEGON (2009-11-07 05:29) 

よーじっく

SOSEGON さん、こんにちはぁ(^_^)/
コメント、ありがとうございます。

今のところ、評判は芳しくないみたいです。(ノ_・。)

冷静に考えると、主人公もそうだけど
お金を貰う友人たちも、かなり変です。
そこにひっかかるのかな。

やっぱり寓話の面白さなんだろうなと
思います。
by よーじっく (2009-11-07 09:44) 

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