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映画 (2009 鑑賞作品) ブログトップ
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『カールじいさんの空飛ぶ家 (3D版) 』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

カールじいさんの空飛ぶ家.jpg

チェック:『モンスターズ・インク』のピート・ドクターと『ファインディング・ニモ』の脚本家ボブ・ピーターソンが共同で監督を務める3Dアニメ。冒険家への夢をあきらめ切れずにいる78歳の老人に、驚きの出来事が巻き起こる冒険ロード・ムービー。カールじいさんの声を『アパッチ砦・ブロンクス』のエドワード・アズナーが、カールの相棒となる少年ラッセルの声を新人のジョーダン・ナガイが担当する。ピクサー初となる3Dデジタルでの作品に期待が高まる。   《 シネマトゥデイ 》 より
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 楽しく観ました。後半はハラハラ、ドキドキの冒険アクシュン。ファミリー向けの娯楽作としては、面白く出来ています。

 去年の今頃は『WALL・E/ウォーリー』を観た時期。つい、そのレベルの作品を期待してしまいます。予告編もかなり印象が良かったし、心に残る作品なんじゃないかと、想像していました。

 冒頭の追想シーンは、 あの加藤久仁生監督の『つみきのいえ』を髣髴とさせる、切なさとノスタルジーが漂う、とてもステキなものでした。

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 けれど、残念ながら、『つみきのいえ』の持つ、「人間が生きていくこと」へのあたたかいまなざしや奥深さはなかった。ちいさな心くばり、儚いものへの節度ある「いとおしみや慈しみ」、そんなものが、じわぁ~とこちらの胸に届けばいいなあと、思っていたんだけれど・・・。

 いざ家が風船の力で飛び立ってしまうと、いつのまにか、ただの冒険ものになってしまっていた。残念にことに、以後はディズニー=ピクサー作品としては、珍しいくらいにあっけらかんとした、細かいことには何の気配りも感じられないシンプルなお話が、面白おかしく進んでいくだけでした。

 楽しめたんだけれどねぇ、ほんと何もひっかかってこない、「あれってこういうことかな」「これってこうなっていくのかな」みたいな、伏線がほとんどなくて、高望みかもしれないけれど、監督の主役キャラクターへの愛情が希薄な感じがしました。

 いとおしさや慈しみ、多くのピクサー作品には確かに存在するもの、恒例の同時上映短編『晴れときどきくもり』でさえも、しっかりと漂っていたのに・・・。

 じいさん1人では、作品のメインをなす冒険は体力的にも視覚的にも辛いので、少年とか犬とか、鳥とか、仲間が増えては行く(オイオイ、どこかで聞いたようなおとぎ話)、そしてしっかり悪役も登場するけれど、展開や落ち着く先が、余りに安易な気がした。

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 じいさんは、結局、何がしたかったのか(確かに冒険なんでしょうけれど)、何故、風船で家を飛び立たせたのか(確かに妻との想い出の家なんでしょうけれど)、そこにあるはずの、じいさんの「思い」や「願い」や「こだわり」は伝わってこず、心に残るようなステキなエピソードの挿入もなく(小道具を使ってのフラッシュバックとかね)、追想シーン以外は、単なる冒険アニメに終始してしまった。

 そう、風船の家の準備が、一晩で出来てしまったように誤解されかねない描写が手抜きに感じられるし、万事がそんな感じなのが、なんとも残念だった。

 まっ、きっと旅の準備は一晩なのかもしれないけれど、かなり時間をかけて準備を進めていた・・・、ってほうが、じいさんの長年思い続けた妻とのロマンみたいなものが漂ってきて、飛び立つ瞬間の感動がさらに倍増すると思うし、達成感みたいなのも共有できる気がするんだよね。せめていくつの風船だと空を飛べるのかの計算シーンを、デタラメな数式でもいいから描写して欲しかったなあ。ワンカットでもいいから・・・。


 で、冒険を始める直接的な理由も、じいさんの家の回りの工事現場の人たちとのいざこざがきっかけで、老人ホームに入ることになって・・・、ってヤツなんで、動機付けとしては、ロマンも何もなくて、いまいちスッキリと気持ち良くは受け止められないんだよね。裁判シーンが出てくるんで無責任に慌てて、何かから逃げるような感じすら受けてしまう。

 まっ、よその屋根のアンテナに家をぶつけて動かしてしまうなんてのは仕方ないとは思うけれど、勝手に少年を連れまわして問題は起こらないのかとか、美しい大自然の妻との「憧れの滝」のそばに、テレビを不法投棄してOKなのか、領空侵犯とか(それがたとえ米国内としてもね)、そんなところが、全く詰められていないのは、いかがなものかと思ってしまった。

 これらのことは、ちょっとした脚本や描写の調整でなんとでも、クリア出来るレベルの問題。

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 主人公の周辺のストーリーの発端とかが、中途半端に現実的な部分を持っているばかりに、かえってファンタジーとして突き抜けられない、煮え切らなさが残ってしまう。

 そこらへんを推敲しないまま演出してしまっているという、無神経さが気になった。なんか、成り行きと思いつきで、こうなりましたって感じの軽さが、悲しいくらいに寂しく感じられた。終わり方も、せめての辻褄あわせをして欲しかったなあ、ご都合主義でも何でもいいから・・・。

 風船の家は空高く飛んだけれど、じいさんの「夢」は、低空飛行のままどこかに飛び去ってしまった。そして、新しい「仲間」と「夢」を手に入れたってことなのかもしれないけれど・・・。

 今回は3D上映への興味もあって、3D方式は同じだけれど映画館はシネコンにしてみました。う~ん、やっぱり余り変わりませんでした。^_^;

 どうしても画面は暗くなるんですね。この作品では、これ見よがしの飛び出すシーンはなくて、奥行き感を生かした3Dとして、機能していたように思います。作品の雰囲気には合っていたと思います。




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『風が強く吹いている』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

風が強く2.jpg
「概要」 学生ランナーの憧れの舞台、箱根駅伝を描いた直木賞作家・三浦しをんの同名小説を基にした青春ドラマ。駅伝部キャプテンと新入生天才エースを中心に、個性豊かな素人集団10人が箱根出場を目指してタスキを繋ぐ。小出恵介、林遣都ら若手キャストが本格トレーニングを重ね、実際の大会の映像も織り交ぜながら映し出す迫力の駅伝シーンは見もの。  《風が強く吹いている@ぴあ映画生活》より

 とにかく、「うまいっ!」と嬉しくなってしまった。小品らしくコンパクトに仕上げられている、とても美味しく調理された「駅伝」ならぬ「駅弁」を食した感覚。

 まっ、ほどほど美味しい駅弁はたくさんあるけれど、入念に吟味された食材と安定した腕で調理された、ちょっと少な目の「駅弁」なので、腹八分目のほどよい満足感が得られる。決して胃にもたれることもなく、旅の思い出として旅情をさそう素朴な絵柄の包装紙も、持ち帰りたくなる感覚に似ている。

 とりあえず、「駅伝」の話です。メンバー集めから始まり、箱根駅伝出場を目指す、無名な大学の運動部のお話。

 「イケメンを揃えました」が売り物らしいので、やはり良い評判を目にしても、なかなか映画館には足が向かなかった。テレビの箱根駅伝も惰性で見ている程度の興味しかなかったりしますんで・・・。(^^ゞ

 しかし、公開されてから1ヶ月経ってもまだ上映している状況(静岡市の静活系映画館)を見て、ものは試しと出かけました。

 今は、観てよかったと思っています。こういったスポ根系の作品って、ちょっと押し付けがましい感動とか、お涙モノの過去の秘話とか、ベタな手段で迫ってこられたりしそうなんで、嫌なんですよね。たしかに、そんな部分がないわけじゃないけれど、それなりにさらっと、こちらが受け流せるレベルで抑えられてたりします。

 駅伝の話なんで、メンバーも多いし、コーチとかマドンナとか、作品の趣向によっては出ずっぱりの役もいろいろと増えてきて、焦点がボケたりもしそうなんだけれど、そこらあたりは、あっさりすぎるぐらいバッサリと切り捨てられていて、ベタベタやモタモタが軽減されています。でも、マドンナ役の水沢エレナの出番が少なくて、もうちょっと潤いみたいなのは欲しいなあと、切実に思いました。イケメン目的の女性には必要ないってことなんでしょうね。その点でもハッキリした作品なんですね。(^^ゞ

風が強く.jpg

 私は冒頭の食い逃げエピソードで、しっかりハマってしまいました。そう、二人の食い逃げ犯を、自転車で追ってくる定職屋の女の子、しっかり追いかけてはいるんだけれど全く声を上げないんだよね。このあり得ない状況に、食い逃げ犯の主犯である主人公の心境や立場が見えてきて、逃げながらの未来のエース候補との会話に、胸が熱くなってしまった。

 この食い逃げは「罠」なんだなって、すぐにわかってしまうんだけれど、この導入部の作り方が、嬉しい。それだけで、主人公やエースの人物設定が、ほとんど紹介出来てしまうという演出。おぉ、かなり気合が入った脚本じゃないかと、冒頭から期待してしまいました。

 で、贔屓目な目線で観てしまったんでしょうか、ほんとに面白かった!!!

 日テレ協力の「箱根駅伝」シーンも、こういった小品タイプの映画には珍しく、しっかり「らしさ」が出ていて違和感がありません。さらに節度も感じられて、いやらしくない。監督のコントロールが、行き届いてるんだろうなあ、と納得しました。

 ラストへ向かって、感動を盛り上げる演出もないわけではないけれど、過剰寸前のギリギリのところで、踏みとどまっていて、それがかえって嬉しかったりします。

 「うまい!」と「後味のよさ」が爽やかな、いい映画でした。



映画「風が強く吹いている」予告
『風が強く吹いている』 Official site

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『リミッツ・オブ・コントロール』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

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ストーリー:「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」という不可解な任務を与えられ、一人の男(イザック・ド・バンコレ)がスペインにやって来た。“孤独な男”なるコードネームを持つ彼は、任務遂行を目指してスペイン中を巡っていく。そんな“孤独な男”の前に、彼同様にコードネームを持つ名もなき仲間たちが現れ始めるが……。   《 シネマトゥデイ 》 より

 久しぶりにジム・ジャームッシュの作品を観た。

 あれっ、こんな映画を創る人だっけ、と思いながらも、この抵抗できない心地よさって何?と、映画のリズムに身を委ねてしまった。

 なにか、昔の映画を観ているみたいだった。といっても、この作品の中でも、登場人物が昔の映画の話をしたりするんだけれど、そんな昔の映画じゃなくて、この作品には70年代映画の瑞々しさが漂ってました。

 それって、やっぱりジャームッシュの瑞々しさってことなんのかもしれないなあ、と後になって合点したりして。

 と言いつつ1時間ぐらい前に観たばかりなんですが、かなり余韻が残っていて、今、ふと気付いたんです。(^^ゞ

 まっ、そういうタイプの映画かもしれないです。やけにスペインの風景が目に焼きついている。あとでじわじわくるヤツね。

 お話はあってないようなもの。結局、何も起こらなかったんだなあ、なんて、エンドクレジットを観ながら、勝手に一人で決め付けてしまっていたけれど、何も起こらないことの素晴らしさや美しさが、この作品にはあるんだよね。

 コードネーム“孤独な男”とやらが主人公という体裁はしているけれど、彼は殆ど、いや、全くに近いほど話さない。話さないんじゃなくて、語らないといった方がいいかな。語るのは、彼に指令らしきメモを渡す、正体不明の複数の男女。

 まっ、この映画で言いたい事は彼らがたっぷり語ってくれるんだけれど、なんか単なる監督の呟きにしか、聴こえてこないんだよなあ。どうせ、つまらん独り言だろうなあ、と私も真剣には聞いてなかったけれどね(ウソです)。

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 ピル・マーレイが出て来てくれて、やっと、一応の主題みたいなものはわかるんだけれど、私なりに解釈したのは、「テロ」のお話、妄想の中のテロ、意識下のテロ、思想としてのテロ。舞台もスペインだし、なんか、そんな感じがした。

 でもね、フラメンコ(?)で歌ってくれてたのは「人生に価値なし」だったかな、トラックにもデカデカと書いてあったし、ジャームッシュって、結構、往生際の悪い人なんだなって、思ってしまった。

 そして、あの「いざっ」って場面での「イマジネイション」って言葉は、出来たら使って欲しくなかったなあ。とりあえず一応、「ヒットマンの不条理ドラマ」って形式はとっているんだから、念押しはないでしょ。それに「NO LIMITS NO CONTROL」と画面に出してくれたけど、これもしつこい。監督の憧れは寡黙な男、なんですよね。(^_^;) 《反転してネ イマジネイション=NO LIMITS NO CONTROL は副主題だよね、あくまでも

 そうそう、Borisの音楽がかなり80年代ぽくて、ツボでした。いや、90年代のUKのグループが回顧ぽく80年代の音を出してる感じですね、懐かしい~。



『リミッツ・オブ・コントロール』
『リミッツ・オブ・コントロール』 Official Site 


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『スター・トレック』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

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チェック:テレビドラマや映画でおなじみの「スター・トレック」を再構築し、ジェームズ・T・カークの若き日を描くスペース・アドベンチャー。あるアクシデントによりUSSエンタープライズに乗ることになったカークが、宇宙への冒険で成長していく姿を描く。監督は『クローバーフィールド/HAKAISHA』のJ・J・エイブラムス。カークを演じるのは、『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』に出演しているクリス・パイン。1960年代から続く人気シリーズが、最新のVFXを駆使してどう生まれ変わったのかが見どころ。   《 シネマトゥデイ 》 より

 SF映画というと、異様な形態の、スターシップや異星人や惑星が登場して、意表を突かれたりすると、それだけでOKだったりする私です。

 この作品も、その点では冒頭から合格点でした。そのうえ、スタートレックなんですから、心のどこかでは観る前から、既にニヤニヤしていてもおかしくない、なんて思います。^_^;

 決して自分をトレッキーだなんて、おこがましくて言えませんが、10代前半の頃、夏休みなどにテレビの再放送を毎日見ていた記憶は、この作品の何気ないシーンでさえも否応無しに反応してしまい、盛り上がったり興奮したり、何かがこみ上げたりしてしまいます。私には、かなり強烈にインプリントされているんだと思います。(^_^)

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 お話は、カーク船長の若かりし頃のエピソードと、USSエンタープライズの船長に就任するまでのいきさつなので、流行の「ビギニングス」ものなんですね。

 ただ、テレビの設定を踏まえたうえで、巧妙に再構築された、エンタープライズ号の新しい門出の作品として作られているところは、感心しました。キャラクター設定も、かなり大胆に手を加えていて、オリジナルを尊重しながらも、新しいスタトレを作ろうとしている意欲が感じられます。

 まっ、タイムパラドックスとか、色々あるんでしょうが、スタトレファンを上手に騙そうとしているみたいなんで、その心意気に感謝して、私も余計な事は考えずに観ていました。

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 SF系のアクション・娯楽作としては、いい出来だと思います(贔屓目な視線かもしれないけれど・・・)。

 観ていて嬉しかったです。ただただ楽しかったです。でも、2作目に期待するとは、ならないところが微妙です。別につまらないわけじゃないけれど、新しい記憶に、個人的な思い出が、塗り替えられてしまう怖さを感じます。

 大切に残しておきたい記憶を、最新技術のVFXや映画的な作話術で、これ以上侵食しないで欲しいなあ、なんて勝手な思いがあるんですね。ただそれだけなんですが・・・。^_^;

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 この上の写真のシーン。映画の中でやっと、オリジナルのクルーが勢揃いする場面なんですが、熱いものがぐっとこみ上げてきました。

 エンドクレジット直前には、テレビ版でおなじみの冒頭ナレーション流れて・・・。とうとう私は陥落してしまいました。(^^ゞ



映画『スター・トレック』 予告編
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『イングロリアス・バスターズ』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

ストーリー:1941年、ナチス占領下のフランスの田舎町で、家族を虐殺されたユダヤ人のショシャナはランダ大佐の追跡を逃れる。一方、“イングロリアス・バスターズ”と呼ばれるレイン中尉率いる連合軍の極秘部隊は、次々とナチス兵を血祭りにあげていた。やがて彼らはパリでの作戦を実行に移す。   《 シネマトゥデイ 》 より
 タランティーノらしい映画なんで、好みは分かれるかもしれないけれど、とにかく面白い、素直に楽しんでしまった。痛快で、小気味よいテンポで、あれよあれよと映画は進んでいく。

 ナチに家族全員を虐殺された少女ショシャナ(メラニー・ロラン)の復讐と、レイン中尉(ブラッド・ピット)率いる連合軍側の特殊ナチ虐殺チームの話が平行して描かれているんだけれど、この二つの話にラストまで接点はなく、ナチのランダ大佐が両者をつなぐ存在として、最初から最後まで出ずっぱりの活躍。

 従って、なんか2本の映画を混ぜこぜで観た気もしないわけじゃないけれど、上手に交錯させているんで納得。そう、ブラツド・ピットが狂言回しみたいになっちゃってたりして・・・。

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 まっ、影の主役は、ナチのランダ大佐ということになるんだろうなと思います。とにかく頭が切れるというか、狡賢いというか、憎たらしいくせにクールで、独語・仏語・英語・伊語(?)を操るところなどカッコよく(?)見えたりするんだよね。

 手ごわく、かなりしたたかで、肩書きを全うしているんじゃなくて立場を利用してゲームを楽しむみたいな雰囲気だったりする。演じているクリストフ・ヴァルツがうまい!。

 アクション・シーンというか暴力描写は、突き抜けているうえに滑稽なタランティーノ節、全体的にヴァイオレンス・コメディって感じに仕上がっています。劇中の「英雄の誇り」って映画がやりすぎの感ありで、面白そうだった。

 音楽も遊んでいて、冒頭の「遙かなるアラモ 」やボウイの「キャット・ピープル」など、こちらも私のツボだったりします。

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 とにかく、あっという間の2時間30分余でした。長い映画は苦手なので、敬遠していたんだけれど、観て納得、かなりソリッドな仕上がりになってます。個人的な体感時間は1時間40分ぐらいの作品でした。(^_^)
 
 久しぶりにジュリー・ドレフュスが出てました。かつて教育テレビのフランス語講座に出ていた女優さんでタランティーノは2作目になるのかな。そんなところも、嬉しかった。

 そうそう、地下の酒場での、ドイツ語が飛び交う、ちょっとした小休止みたいな場面が、何故かノスタルジックで印象的でした。昔の戦争映画観ているみたいだった、渋谷の全線座あたりで観ていたヤツです。



映画『イングロリアス・バスターズ』 予告編
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『ホノカアボーイ』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

550 ホノカアボーイ.jpg
おはなし「恋人にフラれ、大学を休学したレオは、ひょんなことからハワイ島にあるホノカアの映画館で映写技師として働くことに。ホノカアは、レオが半年前に“伝説の虹”を探し求め、恋人と道に迷った末にたどり着いた町だった。不思議な魅力に吸い寄せられるように再びやって来たこの町で、レオは風変わりだが心優しい人たちと出会う。」   《 シネマトゥデイ 》 より

 こころに沁みてくる映画だった

 いつのまにか、こころに居すわっていて、時間が流れているのを忘れていた。止まっているわけではないけれど、やっぱり時間の速度が違う場所でのお話だった。

 ただ音楽と風景と、そこにいる人間の気配だけで、出来ている映画だったように思う。すうぅ~と、入り込んできたみたいな気もするけれど、ほんとは最初から、ずっと心の中にあって、忘れていたものを、もう一度思い出させてくれる映画だったのかもしれない。

 きっと、だから、全部が懐かしかったのだと思う。

ホノカア.jpg

 風景が心を洗ってくれた、風のそよぎがこころをなでてくれた。陽のひかりがこころの端っこをあっためてくれた。

 画面に映し出されるものが、すべてではないことを、思い出していた。そんな映画だった。だから、とてもいとおしい作品に思える。

 そういえば、この作品も癒し系映画って、確かチラシには書いてあった。で実際、個人的には、かなり癒されました。私にとっての極上の癒し映画って、この作品かもしれない。

ホノカア2.jpg

 ぎこちなくて、舌足らずな気もしないわけではないけれど、そのちょっとだけの素っ気なさが心地よくって、何故か気が付くと映画に包み込まれている、不思議な作品だった。

 深津絵里の登場が、オマケ的には嬉しかったなあ。いいアクセントになっていたと思う。



ホノカアボーイ
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『ニュームーン/トワイライト・サーガ』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

チェック:永遠に年を取らない美しきバンパイアと女子高生のラブ・ロマンスを描き、世界中で大ヒットを記録した『トワイライト~初恋~』の続編。『アメリカン・パイ』のクリス・ワイツに監督を交替し、前作をはるかにしのぐ壮大な物語へと発展する。主人公の二人は前作に続きクリステン・スチュワートとロバート・パティンソンが続投。バンパイア、エドワードとは敵対関係にあたる狼一族の少年にふんするテイラー・ロートナー、さらにはダコタ・ファニングも共演。切ない恋の行方と、バンパイアと新たな種族との闘いに注目だ。   《 シネマトゥデイ 》 より

 前作の米国テレビドラマの片田舎のハイスクールものでも見ているみたいな雰囲気から、女子高生がバンパイアと恋に落ちてしまうお話へと、進展していく流れが好きだった。

 映像もどこかPVでも見ているようなタッチで、全体が軽いノリだったように思う。その少し安っぽいのところが、妙に気に入っていた。バンパイア一族が揃うと、アメコミの『ファンタスティック・フォー』とか『X-Men』でも観ているみたいで楽しかった。

 しかし、この第2作は、かなり雰囲気が違う。

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 序盤は、完全に「恋愛映画」のタッチ。こんなベタなラヴ・ストーリーは滅多にお目にかかれないよな、って驚くぐらいに、クリステン・スチュワート演じる女子高生ベラが、突然の別離に落ち込む。ここらあたりの悶々とした描写は、もたもたしていてちょっと辛いです。

 相手のロバート・パティンソン演じるエドワードからの一方的な別れ話ってことなんだけど、実際エドワードは後半まで余り出てこなくて、バンパイア対パンパイアの戦いってのにも期待しようがなくて残念。

 ベラもかなり、大人っぽくなってしまって、なんか違う作品を観ている錯覚に捉われる。映画の雰囲気も、やはり違う感じに仕上がっている。

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 今作は、バンパイアがちょっとセレブっぽい位置づけになっている気がする。で、それを前提に、セレブな御曹司と庶民の女子高生の恋愛映画って雰囲気が漂っていたりして、あれあれ?って、さすがに戸惑った。

 原作では、どうなっているのか興味を持ちます。前作と第2作、どっちなんだろうなあ、雰囲気は・・・・。

 というわけで、今作は映画全体がスタイリッシュでクールなアプローチで貫かれている、アクション・シーンもないわけではないけれど、殆ど予告編で観ることの出来るシーンぐらいしかない。そこはかなりもの足りない(Youtubeで探すと、米国用の予告編で、アクションシーンが多いタイプを見ることが出来ます)。

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 今回はキラユーテ族というオオカミ人間一族が、メインでフューチャリングされていて、ベラとの新しい関わりがメインなんだけど、ベラって、影のある強い男に惹かれる傾向があるんだね。けれど想いは 一筋なんで始末に悪いんだけどね。

 まっ、今作は、次回作へのつなぎって感じが強くて、新たに登場するイタリアのバンパイア・ヴォルトゥーリ一族が、相当次回作を期待させる雰囲気を発散させている。カレン一族よりさらにセレブっぽいし。

 そうそうベラも、もしかしたらセレブかも(特別な存在という意味です)、なんて感じになってきていて、さらに色々な意味で混乱が起こりそうな予感。バンパイアと狼族の両方を、惹きつける魅力と言うのは、普通じゃないよなあ。彼女の「血」というのも、なんかミステリアスだしね。

 とりあえず『ニュームーン/トワイライト・サーガ』は、このシリーズのステータスをグレイド・アップさせようとしている意識が感じられて、オーソドックスな普通の映画になってしまっていた。

 次回作は、かなり派手目な仕上がりになってると、楽しいだろうなあと、期待はしています、音楽的にもね。

 パラモアの「Decode」を、エンドクレジットでもいいから、聴かせて欲しかったなあ。

第1作目の感想はこちら→『トワイライト~初恋~』


映画『ニュームーン/トワイライト・サーガ』予告
『ニュームーン/トワイライト・サーガ』 Official Siteニュームーン/トワイライト・サーガ@映画生活
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『あの日、欲望の大地で』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

《チェック》『21グラム』や『バベル』などの脚本家として知られるギジェルモ・アリアガが、監督として長編デビューを飾った壮大な愛の物語。愛を渇望する悲しい宿命を背負いながらも、一筋の光に導かれる3世代の女性たちの生き様を真摯(しんし)に描く。ミステリアスな主人公とその母親を演じるのは、シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガー。このオスカー女優二人が肉体をさらけ出し、ひたむきに熱演する女性たちの魂の叫びやその悲しみに圧倒される。
《ストーリー》シルヴィアは、ポートランドの海辺にたたずむ高級レストランのマネージャーとして働いている。仕事場では有能な彼女だが、プライベートでは行きずりの相手との情事を繰り返していた。そんなある日、彼女の前にカルロスというメキシコ人男性と、12歳の少女マリアが現れ……。   《 シネマトゥデイ 》 より

 かなり重く暗い話なんじゃないかと予想していたけれど、いい意味で裏切られてしまった。

 時系列を交錯させての演出なので、頭の中で整理が付くまでは複雑で熱苦しい作品ではないかと気にもなった。

 だが意外なことに序盤ほどほどで、シンプルな「お話」だとわかってしまう。その点では観ていて余計な肩の力は抜けて良かったのだけれど、反面、監督の語り口でシンプルさをいかにカバー出来るかということになってくるわけで、私はかなり上手に捌いてくれたと思っている。

 不倫の上に事故死したらしい母と、その娘シルヴィア。その娘が若いときに産み、捨ててきた少女マリア。シルヴィアは、母の記憶と血筋へのトラウマから、次々に男を渡り歩く生活を続けているのかもしれない。

 一見、よく観る映画の題材なんだけれど、シャーリーズ・セロンが大胆に演じている。その演技から、ついシルヴィアが主人公に見えてしまう。けれど、この映画の切なさや辛さはキム・ベイシンガー演じる母が一身に背負っているように見える。

 情熱とか性(さが)とか、作品が訴えてくるのは、シルヴィアではなく、母の女としての情念とやるせなさ。南西部という土地柄が持つ、荒れて空虚なイメージそのままの母の女としての葛藤と、押し流されていく生きることへの渇望。

 この映画ではシルヴィアと彼女の娘である少女マリアとの再会が、一つのピリオドと用意されているけれど、私はシルヴィアがやっと自分に向き合う勇気を手に入れる、キッカケ程度の変化でしかないように思えてならなかった。

 シルヴィアの、それなりに仕事をこなす行動力と、自分自身に対する薄すぎる執着心。そのギャップは、母ではなく、自分への対峙からの逃避のように思えてならなかった。

 情事の後、窓の外を見つめる彼女の目には、この現実の世界は写っていない、空ろな眼差しが悲しげでさえあった。

 母は女として葛藤していたけれど、シルヴィアは、まだ自分の娘の父である男に出会ったばかりの頃の、少女から成長できていなくて、身体だけは男を求めてはいる。それは自分自身も、実は母であったことへの「あがき」なのだろう。人を認めたり愛したりは出来ない・・・したくない、中途半端なまま、歳を重ねてきてしまったように見えた。

 母を女として理解し、自分を認め、自分の娘マリアを受け入れる、シルヴィアはやっと、その入り口に立ったばかり。母の欲望と、自分自身の欲望の、決定的な違いにはまだ、気づいていないシルヴィアの心には、まだ乾燥した風さえ吹いていない。

 そして、この作品の中では、まだ何も始まっていないことに、どこか寂しさを感じた。虚ろなものを見せられた侘しさ。

 何かあるかもしれないと期待しながら観ていた私は、きっと監督の術中に嵌っていたのだろう。女優陣の体当たりとでもいえそうな演技に、目を眩まされただけなのかもしれないし、荒涼とした大地に潜むものの、あくまでも幻影を、見せられだけなのかもしれない。

 「燃えつきた」ではなくて「燃えている」ものは、母から娘に引き継がれた「情念」だとしたら怖い、しかし、それもまた、これからの話・・・。

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映画『あの日、欲望の大地で』予告編
映画『あの日、欲望の大地で』公式サイト


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『ヤッターマン』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

ヤッターマン.jpg

 ヤッターマンには、さほど興味はないけれど、深田恭子につられてフラフラと映画館に行ってしまいました(オイオイ、またか)。

 で、深田恭子の映画になっていました、満足です。主役じゃないけど、ほぼ主役と呼んでいいでしょう。

 オリジナルのヤッターマンを余りよく知らないので、イメージや雰囲気がどの程度再現されているのかわかりませんが、ギャグに微妙な時代のズレを感じたところを見ると、あの時代の感覚は再現されていたように感じます(逆説的に?)。

 古くさいとは思わないけど、今風とも感じない、ちょっと一昔前のギャグ満載、アクション満載!、って感じかな。

 で、その点ではかなり頑張っていたように思うし、CGというかVFXもそれなりに頑張っていたように思います。

 余り高望みをしちゃいけないと思うので(^^ゞ、ほどほど面白くて楽しくて、品がなくて、そんなところも好印象って言ったら褒めすぎかな。

 ドロンジョ役の深田恭子は、ドロンジョじゃなくて、深田・ドロンジョ・恭子だったけれど、とても可愛くて、オリジナルからは微妙にハミ出ているところが、さらに魅力的でした。

 深田・ドロンジョ・恭子主演で、スピン・オフの2作目を期待したいところです。アメコミ映画化に対抗して、邦画は、この路線の娯楽作もいいんじゃないかな、なんて思ってしまいました。(^_^)



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『少年メリケンサック 』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]

少年メリケンサック.jpg

 「くどかん」作品を苦手としている私です。

 でも、宮崎あおいにつられて、フラフラと映画館へ行ってしまいました。そういえば、たしか、こんな経験が以前もあったような・・・・。(^^ゞ

 そう『ホワイトアウト』!、いや違う『ドラッグストア・ガール』でした。そう、田中麗奈につられてフラフラと。(^^ゞ

 で、あの『ドラッグストア・ガール』とどこが違うんだと考えてしまいました。微妙には違うけれど、同じじゃないかと私は思ってしまうんですよね。

 若い女の子と中年男たち。人生の機微を背負う男たちと、(あくまで)今風の女の子。

 『ドラッグストア・ガール』よりは、さらに進化しているけれど、それって時代を巧みに取り込んだり、宮崎あおいを、ハチャメチャに振り回すことだったりする。そう、時代って、「篤姫」の旬なイメージを利用することや、YouTubeとか、中年パンクロッカーとかいう部分だし、その点で着想がちょっと進化したかなってことです。進化とは呼ばない・・、って言ったらマズイ気もする・・・、でもやっぱり微妙。

 基本は何も変わっていないので、宮崎あおいがどこまで頑張れるかで、作品の印象は変わってくる。

 はい!、宮崎あおいは良かったです。頑張ってました。でも、それだけ。あの子なら、このぐらいはやってくれるだろうと思ってました。「篤姫」だけの女優さんでないことは、それまでの映画を観ていればわかることだし、女優としても、このぐらいは一度やっておきたいと思っても不思議ではない。

 で、パンク・ロックなのかなあ、と思いつつ、パンクな映画じゃなかったことは確かだし、想定範囲内ですべてが終わってしまった作品になっていました。私にとって「くどかん」作品って、やりたいことはわかるけど笑えない喜劇、べたぁ~と日本人ぽい喜劇だったりします。着眼点は面白そうだけど、そこから前に進めないというか、後戻りしている喜劇だったりします。

 と言いつつ、「くどかん」作品を苦手としている私は、また、女優さんに釣られて映画館に行くかもしれません。

 そう懲りない私は、「くどかん」作品に出て来る、残念ながら困った普通の日本人の一人なんですね、きっと。
 


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