『ディア・ドクター』 (2009)

　『ディア・ドクター』を観てきました。

　いい映画でした。

　どう言ったらいいのかなあ・・。いい映画でしたとか、言えない。掛け値なしに、ホント、いい映画でした。

　シンプルなお話を、大変上手に、巧みに組み立てなおして創られているんで、全く飽きることなく面白く観ることが出来ます。

　人間模様を描きながら、「ネタばれ」をどこまで引っ張れるかちょっと心配になったのですが、実際は作品の出来には全く関係なくて、「ネタばれ」がどこで登場するかなんて、どうでもよくなってしまうぐらい、しっかりと出来ています。

　映画の面白さを、ストーリー展開で表現するのではなく、登場する人間を丹念に描くことによって、実現している作品です。

『ディア・ドクター』予告編

　出ている役者さんとかも、実にいい！！！　でも役者さんに頼りっきりじゃなくて、役者さんが生きている。この人が演じて、正解！　って、思わずうなづいてしまいます。

　ただ登場人物を丹念に描きすぎるというか、とてもバランスよく描いているせいで、伊野医師の心の底の方にあって、ずっとトラウマみたいになっているアイディンティティみたいな部分が、そつなく描かれているにもかかわらず、もう一つ、人としての痛みとして伝わってこない気がして、ちょっと残念でした。

　でも、きっと、このバランスで正解なのかもしれません。

　ど～んと衝撃が来る、スゴイ映画じゃないけれど、観て良かったと思える作品でした。

映画『ディア･ドク ター』エンディング曲「笑う花」 - モアリズム

　この感想は、「よーじっくのここちいい場所」に書いたものに、ちょっとだけ加筆しています。

　転載　2009-07-29 15:04:05

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