ご訪問をありがとうございます。
概要「1964年のニューヨーク。ブロンクスにあるカトリック学校セント・ニコラス・スクールでは、校長のシスター・アロイシスが厳格な指導を信条に日々職務を果たしていた。一方、生徒の人気を集めるフリン神父は、ストイックな因習を排し進歩的で開かれた教会を目指していた。しかし、唯一の黒人生徒ドナルドと不適切な関係にあるのではないかという疑惑が持ち上がり、シスター・アロイシスによる執拗な追及が始まるのだった…。」 goo 映画より
何故かこころが落ち着く映画。続けて、もう一回観ていたい気持ちにさせる映画。
こういった流れの、こういったテンポの静かな映画が一番好きかも知れない。
結局、事件は起こったのかどうなのか、ハッキリはしない。結論も決着も見ている誰もが、一つの思いに導かれるわけではない。そして、映画の中の当事者たちにとっては忘れられない出来事なのかもしれないけれど、それは限られた人々の胸の中に収められて、過去という時間に呑み込まれていく。
正義も正解も、どの目線で見れば正しいのか、実ははっきりしないのが現実。「疑惑」「疑い」、というタイトルは、一見この映画のすべてを表しているようだけれど、タイトルへの「疑い」さえ連想させる、映画としての面白さに溢れている。
舞台劇からの映画化で、原作・脚本家が自ら監督した作品。観ていていかにも舞台劇だとは感じさせるけれど、それが気になるどころか納得してしまう映画になっている。
映画化にあたって、無理して話を付け足したり、場所を拡げたり、人物を増やしたりしていないように思えるシンプルで誠実な視点が、爽やかに潔く感じる。
シスター・アロイシス演じるメリルストリープと、フリン神父役のフィリップ・シーモア・ホフマン。この二人の役者が発散するイメージが、一筋縄ではいかない演じる役のキャラクターの奥深さに、生かされている。
事件への関わりや本音を、そのままイメージどおりに連想すればいいのか、或いはもっとシンプルでストレートな人物設定なのかさえ、こちらには図りかねる存在感があり、監督はそれを巧みに利用して、ストーリーを進めていく。
けれど、この作品で描いているのは、彼らの行動を通して観客自らが探さなければならないもの、だったりするところが、また別に面白かったりもする。
「神から遠ざかろうとも、それもまた神のためです」と、信仰を掲げてフリン神父に詰め寄るシスター・アロイシス。単視眼的に思える役もメリル・ストリープが演じると、何故か笑えず、納得してしまう。
フィリップ・シーモア・ホフマン演じるフリン神父も、どこまで下心があるのか、腹が見えない不気味さを、最後まで隠し持っている。
そういった意味では、演技を楽しむ映画でもあるんですよ、って正々堂々と突き放しているところも、面白かった。
彼らが演じているのは、何重にもなった人間の奥深いところにある心理の凄まじさ。心理劇などというレベルを超えてしまったところにある、人間としての存在理由の闘いに見えてくる。
けれど、映画としてのアンサンブルはかなり巧妙で、二人の間に入って、観客との緩衝材の役目を果たすシスター・ジェイムズを演じるエイミー・アダムスと、観客と映画との距離を縮める橋渡し役のミラー夫人を演じるヴィオラ・デイヴィスも素晴らしい。
この4人が、簡潔なんだけれど、かなり秀逸に配置されていて、唸らされる。特に「起承転結」の「転」の役目のヴィオラ・デイヴィスが、聖職の物語を一挙に身近な地平まで、引き下ろしてくる件 (くだり) が素晴らしいと思う。
また、風に舞う枯葉など季節の変化に彩られた町並みの佇まい、横殴りの雨、ツィターの響き、さりげない小道具など、映画でこそ発揮されるイマジーネーションへの働きかけも、憎いほどに効果的に使われている。
小品なんだけれど、私にとって忘れられない映画であることは確かです。映画を観る楽しみを、確認させてくれた、久しぶりの作品でした。
イギリスの監督ジョセフ・ロージーの作品をどこか連想させる冷ややか視線。けれど、この作品の底には人間に対しての、ぬくもりのある暖かなものが感じられた。
ところで、あのラストは「救い」なのか何なのか、ちょっと疑問ではあるんですが、監督の心配りと考えることにします。(^_^)
ダウト-あるカトリック学校で-
※ 130万アクセスにとどきました。(7/8 頃)
ご訪問くださる皆様に、こころから感謝いたします。
皆様に幸あれ!!! です。 ヽ(^o^)丿
『ダウト-あるカトリック学校で-』 (2009) [映画 (2009 鑑賞作品)]
概要「1964年のニューヨーク。ブロンクスにあるカトリック学校セント・ニコラス・スクールでは、校長のシスター・アロイシスが厳格な指導を信条に日々職務を果たしていた。一方、生徒の人気を集めるフリン神父は、ストイックな因習を排し進歩的で開かれた教会を目指していた。しかし、唯一の黒人生徒ドナルドと不適切な関係にあるのではないかという疑惑が持ち上がり、シスター・アロイシスによる執拗な追及が始まるのだった…。」 goo 映画より
何故かこころが落ち着く映画。続けて、もう一回観ていたい気持ちにさせる映画。
こういった流れの、こういったテンポの静かな映画が一番好きかも知れない。
結局、事件は起こったのかどうなのか、ハッキリはしない。結論も決着も見ている誰もが、一つの思いに導かれるわけではない。そして、映画の中の当事者たちにとっては忘れられない出来事なのかもしれないけれど、それは限られた人々の胸の中に収められて、過去という時間に呑み込まれていく。
正義も正解も、どの目線で見れば正しいのか、実ははっきりしないのが現実。「疑惑」「疑い」、というタイトルは、一見この映画のすべてを表しているようだけれど、タイトルへの「疑い」さえ連想させる、映画としての面白さに溢れている。
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舞台劇からの映画化で、原作・脚本家が自ら監督した作品。観ていていかにも舞台劇だとは感じさせるけれど、それが気になるどころか納得してしまう映画になっている。
映画化にあたって、無理して話を付け足したり、場所を拡げたり、人物を増やしたりしていないように思えるシンプルで誠実な視点が、爽やかに潔く感じる。
シスター・アロイシス演じるメリルストリープと、フリン神父役のフィリップ・シーモア・ホフマン。この二人の役者が発散するイメージが、一筋縄ではいかない演じる役のキャラクターの奥深さに、生かされている。
事件への関わりや本音を、そのままイメージどおりに連想すればいいのか、或いはもっとシンプルでストレートな人物設定なのかさえ、こちらには図りかねる存在感があり、監督はそれを巧みに利用して、ストーリーを進めていく。
けれど、この作品で描いているのは、彼らの行動を通して観客自らが探さなければならないもの、だったりするところが、また別に面白かったりもする。
「神から遠ざかろうとも、それもまた神のためです」と、信仰を掲げてフリン神父に詰め寄るシスター・アロイシス。単視眼的に思える役もメリル・ストリープが演じると、何故か笑えず、納得してしまう。
フィリップ・シーモア・ホフマン演じるフリン神父も、どこまで下心があるのか、腹が見えない不気味さを、最後まで隠し持っている。
そういった意味では、演技を楽しむ映画でもあるんですよ、って正々堂々と突き放しているところも、面白かった。
彼らが演じているのは、何重にもなった人間の奥深いところにある心理の凄まじさ。心理劇などというレベルを超えてしまったところにある、人間としての存在理由の闘いに見えてくる。
けれど、映画としてのアンサンブルはかなり巧妙で、二人の間に入って、観客との緩衝材の役目を果たすシスター・ジェイムズを演じるエイミー・アダムスと、観客と映画との距離を縮める橋渡し役のミラー夫人を演じるヴィオラ・デイヴィスも素晴らしい。
この4人が、簡潔なんだけれど、かなり秀逸に配置されていて、唸らされる。特に「起承転結」の「転」の役目のヴィオラ・デイヴィスが、聖職の物語を一挙に身近な地平まで、引き下ろしてくる件 (くだり) が素晴らしいと思う。
また、風に舞う枯葉など季節の変化に彩られた町並みの佇まい、横殴りの雨、ツィターの響き、さりげない小道具など、映画でこそ発揮されるイマジーネーションへの働きかけも、憎いほどに効果的に使われている。
小品なんだけれど、私にとって忘れられない映画であることは確かです。映画を観る楽しみを、確認させてくれた、久しぶりの作品でした。
イギリスの監督ジョセフ・ロージーの作品をどこか連想させる冷ややか視線。けれど、この作品の底には人間に対しての、ぬくもりのある暖かなものが感じられた。
ところで、あのラストは「救い」なのか何なのか、ちょっと疑問ではあるんですが、監督の心配りと考えることにします。(^_^)
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ご訪問くださる皆様に、こころから感謝いたします。
皆様に幸あれ!!! です。 ヽ(^o^)丿
xml_xsl さん、こんばんはぁ(^^)/
ご訪問とnice!、いつも嬉しいです。
ありがとうございます。感謝です!
by よーじっく (2009-11-26 01:23)
予告編を見る限り、
静かなテンポの映画には見えませんね。
すっごいサスペンスのように感じました。
それでも全編を通して見ると、
人間ドラマがあるんでしょうね。
余談ですが、
前の会社にメリル・ストリープが来て、
間近であの微笑みを見たことがあります。
もう15年ぐらい前ですが、
本当に優しさに満ち溢れた微笑みでした。
今でも忘れられない想い出です!
by SOSEGON (2009-11-26 05:57)
メリル・ストリープが来る会社って、
どんな会社なのか想像つきませんね。
すごい!です、いいなあ。(^_^)
SOSEGON さん、こんにちはぁ(^_^)/
いつも、ありがとうございます。
この作品は、サスペンスのように見せかけて
かなり真面目な問題を
たくさん孕んでいる作品だと思います。
60年代が舞台なんですが、当然だけど
その頃の音楽が流れるわけでもない。
けれど、懐かしい風情が感じられます。
いい作品だと思います。
基本はとても静かな映画です。
by よーじっく (2009-11-26 09:32)
@ミックさん、こんにちは(^_^)/
ご訪問とnice!、いつも嬉しいです。
ありがとうございます。m(__)m
by よーじっく (2009-11-26 09:33)
shin さん、こんにちはぁ(^_^)/
いつも、ご訪問とnice!、感謝です。
ありがとうございます。
by よーじっく (2009-11-26 09:36)