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『歓喜の歌』 (2008) [映画 (~2008 鑑賞作品)]

 いい映画だと思います。悪い人は一人も出てこない、とても気持ちのいい作品です。

 原作は立川 志の輔の新作落語だそうです。落語が原作だからといって、コメディで片付けてしまうには余りにもったいない気もします。まっ、落語ですから市井の人々の悲喜こもごも、が土台になっています。その上に音楽の素晴らしさが充満した映画です。合唱の素晴らしさを誰でもが、身近に堪能できる作品です。

 主人公は、小林薫演じる地方の文化会館の主任。まあ、公務員と言う事で、飛ばされて今は文化会館にいるという設定なので、誰でも想像できるダメ公務員を演じています。ここまで仕事、だらだらやっていていいのかなあ、と思うぐらいにカリカチュアライズされた演出です。
 
 私は、この絵に描いたようなぐうたら、やる気無し公務員を見ていて、はっきり言って嫌悪感を覚えました。まっ、映画ですし、現実には、こんな酷い公務員はいないと思うので、余計に気分は良くなかったです。製作者側の悪意に満ちた演出のように思えたんです。コメディなんだからいいじゃん、なんて言わないで欲しいです。

 でも、そんな公務員を、何故か憎めなく感じさせるように演じている小林薫は、たいしたものだと思います。

 作品の前半は、そんなダメ公務員ぶりが中心に描かれているので、ちょっと困った映画だなあ、なんて思ってました。はっきり言って、このままじゃ最後まで見てられないよってな、感じです。

 しかし、映画が始まって1時間経ったぐらいから、作品は様相を変えてきます。事件は大晦日の文化会館公演のダブルブッキングです。2つのアマチュア・ママさんコーラスが、その被害者です。

 どちらも、その日に、その時間に公演しなければならない、色々な事情があります。その団員さんたちの事情を描くために、たくさんのエピソードが描かれていきます。そう、コメディではよくある、こんがらかるだけこんがらかってしまった団員さんたちの事情です。

 まっ、この事情が泣かせるんです。私は結構、ウルウルしていました。まだ、まだ、事態は解決するようには見えない段階なのに・・・。

 で、この映画の後半は、いかに、あのダメ公務員の主任さんが事態を収拾するかと言う話になります。 キッカケは餃子です。まっ、この餃子は見てのお楽しみです。

 はい、ここからがコメディです。実にご都合主義です。実にいい加減です。実に限りなく、身勝手な辻褄合わせです。

 でも、もう遅いんです。私はとっくにウルウルしちゃっているんです。このウルウル感を、製作者のご都合主義の犠牲にはさせたくない。最後まで、感動のラストまで引っ張って行って欲しい。そう願い始めているんです。

 この作品に感動した多くの人は、きっとラストへと盛り上がっていく感動を、しっかり受け止めたいと思って、全ての「いい加減さ」に目を瞑ったんだと思います。

 そう感動しかかった私を、このまま置き去りにしないで!、悲痛な叫びです。

 そして、製作者の思惑通り、感動したがりの私は、しっかり感動しました。

 最初に、出てくる人は全て良い人ばかり、と書きましたが、実は、この作品を見る人はいい人ばかりだから、感動してくれるだろう、という製作者側の思惑に、見事ハマってしまったのは、この作品を好きな、人の良い観客なんですね。

 はい、恐れ入りました。



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