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映画 (2010 鑑賞作品) ブログトップ
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『バイオハザードIV アフターライフ ( 3D版) 』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 何故なんだろう、この物足りなさって、決してつまらないとは思わないし、それなりに楽しめた。

 でも、何も残らない、何も刺激を受けない、3D版を観たにもかかわらず、それなりに3D効果を生かしたシーンもあったのに・・・。まっ、お話はあってないようなもの、と言ってしまったらオシマイなんだけどね。

160 336357_001.jpg 一応ストーリーはあったのに、アクションだってド派手に、かなりの部分がCGに頼っているとはいえ、一種スタイリッシュでカッコいいシーンだってあったのに、やっぱり・・・・。

 いくら次から次に見せ場を繰り出されても、全く緊張感がないというか、スリリングじゃないんだよなあ。作品が、アクションのためのアクションで終わってしまっている。つい、そう思っちゃう私が、悪いのかなあ。

 ある種の制約の中で繰り広げられるアクションは、スリリングなんだけど、この作品って、「何でもあり」の世界でのお話。なので、作品を支えるはずのリアリティに必然性がなくても成立しちゃう訳で、その方向にいくら展開してくれても、どこかではぐらかされちゃうんだよなあと、こちらが疑心暗鬼に陥りやすい危険性を孕んでいる。

160 336357_004.jpg 地球規模の話なのに、スケールはデッカイ話のはずなのに、どこかこじんまりしていて、意外性も何もない。パッと、その世界を広げても、結局局地的な小競り合いみたいに見えちゃう。


 アクション映画は、3D版に拘らなくてもいいかな、って今更なんだけど、思い知らされてしまったような気がする。何故か2Dのほうが、迫力あるかも~、なんて思ってしまった作品。

 こういう、一見つまらなそうなB級ぽい佇まいの作品には、3Dは似合わないのかな。3Dだからって、過度の期待をしちゃうと、却ってつまらない見方をしてしまう気がする。
 

・・・ 『バイオハザードIV アフターライフ』 概要と予告編を見る


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『オカンの嫁入り』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 いわゆる「いい話」なんだと思います。ただ、この「いい話」が予想できる展開なので、またか~と、ついつい客観的になってしまうのが、ちょっと残念にも思います。

 映画として、とても丁寧にとても気配りの行き届いた演出によって創られているので、後半のありきたりなストーリー展開がもったいない気がしてしまうんですね。


180 336089_006.jpg 酔って帰って来た母の、若い金髪男との「結婚宣言」から、この映画は始まります。それも今日から一緒に住むという、とんでもない宣言なんですから、今まで長い間二人暮しだった若い娘としては反発しないほうがおかしいです。

 前半は、いきなりの「結婚宣言」によって波立ってしまった家族の絆が、少しずつ、穏やかな元の生活へと落ち着いてゆく姿が描かれていきます。

 登場人物たちのセリフや仕草や、住んでいる家の佇まいや何気なく置かれた小道具、娘が飼っている犬や、日常の食事、そんな何気ないものへの、細やかな描写の積み重ねで、この作品は成り立っています。

 とにかく、普段見過ごしてしまいそうな、そんな日常的な当たり前のものが、観ている間に、何故か、とてもいとおしく感じられてくるような、日本人の皮膚感と言ったらいいのかな、そんなものに支えられている作品でもあるんですね。

180 336089_002.jpg というわけで、この映画は母娘と若い男、そして大家のおばあさん、母が勤める病院の医者、5人だけで展開する、家族を描いた、暖かくて切ない、人情話なんですね。

 役者さんたちが、とても良くて、大竹しのぶや大家さんを演じる絵沢萠子など、安心してゆったりと映画に浸れる雰囲気を醸し出しています。娘を演じる宮崎あおいも、その押し付けがましくない自然体の演技に、すんなりと映画に入り込めて、やっぱり凄いなと納得してしまいます。そして、医者を演じる國村隼が、しっかりと支えつつ安定感のある演技で物語を引き締めているのは、さすがですね。ホント、役者さんたちがお話に馴染んでいるのが、何より嬉しくなりました。

180 336089_007.jpg 一種の癒し系、或いは和食グルメ系映画の要素も、この作品は持っているんだけれど、そこらあたりも、そつなく生かされていて、魅力になっています。

 とにかく、日本映画らしい、監督の繊細な心遣いに満ち溢れた作品として、私はとても気に入ってしまいました。かつて、こんな映画が、当たり前に存在していた時代があったんだよなあ、と懐かしくさえ思えてしまう、「いい映画」だと、私は思います。私は、前半だけで満足してしまったんだけど、それで充分です。


 

・・・『オカンの嫁入り』 概要と予告編を見る


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『パリ20区、僕たちのクラス』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 久し振りに、何と感想を書いていいのか、全く言葉が浮かばない映画に出遭った。

 どんな作品なのかは、下の「概要」を読んでいただくとして、この「フランスの“今”を切り取った作品」との評に、距離感を覚えた。最も的確に作品を表しているであろう、その言葉を読んで、私なりの感想がやっと、湧いてきたって感じ・・・・、だったりする。

 まっ、一番私を悩ませたのは、この『パリ20区、僕たちのクラス』 が2008年のカンヌ映画祭で、パルムドール賞を与えられていると言う事なんだけど・・・。

160 1007965_01.jpg とにかく、世界的な映画祭での最高賞となると、この作品に、普遍的な問題提起を、繋げたくなってしまったりする・・・。穿った観かたをすれば、この「僕たちのクラス」とは、「地球」の縮図なのか、いや「今」そのものなのか、人間戯画なのか、なんて考えたくもなる。

 でも・・・、やっぱりなんか違うんだよなあ。"フランス"の"今"という言葉には、どこか空々しさしか感じない。

 ドキュメンタリー・タッチのフランスの中学生を主人公にした、鮮やかな青春映画。変化していく子供達の「こころ」を、瑞々しく描いた青春映画。

160 T0008782a.jpg 彼らは、ある統一された答えを学ぶために、生きているわけでも、学校に来ているわけでもなくて、自分が置かれている時期と位置を学ぶために、その学校そのクラスにいるんだと思う。大人から見ても不安定で流動的で、一過性の現実を、記憶という糧に刻むために。

 その現実に直面している子供達の生き生きとした、素晴らしい時間を、描いている青春群像映画なんだと思う。

 いくらでも、もっともらしい意味づけは出来るんだろうけれど、やっぱり、この映画って、密やかで慎ましい、若者たちの「青春」を描いた佳作なんだろうと思う。ただ、それだけだから、素晴らしいのだと思う。

 私は、そんな観方(みかた)しか、この映画には出来なかった。

 とにかく、ほんとにドキュメンタリーではないことが、信じられないくらいに子供たちは生き生きとしていて、その点から考えると、演出や編集などなど、なんとも凄い作品だと、私も思うんだけどね。


・・・『パリ20区、僕たちのクラス』 概要と予告編を見る


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『ローラーガールズ・ダイアリー』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 さわやかな映画だった。あらゆる意味で軽いということが、この作品の魅力なのかもしれない。

 17歳の少女がローラーゲームに挑戦する話なんだけど、エキサイティングでスピード感の溢れる、そして何よりワイルドな、まっ、相当乱暴なゲームなんだけど、何故か、この映画は観ていて全く痛くないんだよねえ。

160 ローラーガールズダイアリー2.jpg 遥か昔、日本でも米国のローラーゲームの試合を放送していて、私も結構好きだったんでよく見ていた。で、あのテレビ放送も、とても迫力があって選手たちの怪我なんて当たり前な感じだったんだけど、思い出してみると見ている私は、余り痛く感じたことはなかった。一種の格闘技なんだろうけれど、スピード感と駆け引きの面白さだけを覚えている。

 映画『ローラーガールズ・ダイアリー』はテレビ放送よりも、さらにゲームの描写が痛くない、良い意味で爽やかさだけが伝わってくる。そして、主人公の女の子の、生きる事へのフットワークの軽さみたいなものが、心地よく感じられたりする。


160 006.jpg 両親の期待とか、恋愛とか、友情とか、とりあえずヒロインには悩みがあるんだけれど、何もかもが青春によくありがちな悩みで、みんなそこを通り抜けて成長していくんだよねという、「なんとかなるさ」「当たって砕けろ」みたいな精神が、この映画の土台には脈打っていて、気が付いてみると、主人公以上に、両親を含めて、ヒロインの周りの登場人物が、かなり軽い・・・、いや臨機応変と呼ぶべきか、なので人間関係がベタベタしたり、重くなったりしない展開なんだよね。

 で何故か、この映画のフットワークの軽さに、嬉しくなったりしちゃうんだよね。

 そういえば、不思議と「時代」が見えてこなかったりする映画でもある。お話の舞台となるテキサスの田舎町って、今でも、こんな雰囲気なのかな、30年ぐらい前の匂いがする。

160 003.jpg そして流れてくる音楽は、今のアメリカぽい音楽なんだけど、今ぽくなかったりする。ちょっとナツメロな曲を今風のアレンジで料理した音楽が多いので、時代が匂ってこないのかもしれないけれど、これはこれで監督の意図なのかもしれない、気もする。

 普遍的な青春映画の題材を、軽く遊んでみました、みたいにも思えたりする。

 私は、結構、この軽さ、好きです。とっても可愛くて、好感の持てる作品だと思います。


・・・ 『ローラーガールズ・ダイアリー』 概要と予告編を見る


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『キャタピラー』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 主張のハッキリした簡潔な映画でした。

 反戦という思いが、ストレートには伝わってこない気もしますが、確かに反戦映画なんですね。

 挿入される写真や映像や新聞記事や字幕はどれも、その時の事実を語っているわけで、この作品の方向性を決定しているように見えます。しかし、どこかズレている気がします。

 寺島しのぶの演技は、全てを含めて何かを伝えようとする意思を感じます。

キャタピラー.jpg その意思を監督は、しっかりと汲み取っているとは思えませんでした。思いと思いが、どこかでぶつかり合って、爆発しているのではなく不完全燃焼しているように見えるのです。

 監督の主張は、ハッキリしていても、映画に焼き付けられているのは、反戦ではなく人間の理不尽な思いと生き様であったりします。最終的には、巡り巡って、反戦という位置に還ってくる、そんな作品なのかもしれませんが・・・。

 寺島しのぶの存在感や演技が、テーマ以上のものを孕んでいる事は確かです。

 従って、戦争にセックスという切り口で挑んでいる気迫は感じられますが、映像のなかから訴えてくるのは、愚かだけれど、生き抜いていく人間への、賛歌のように感じられてしまいます。

 リアルらしいセックス・シーンに拘れば拘るほど、そこに残されるのは生身の人間の「凄み」だったりします。それが演じている寺島しのぶ本人の「凄み」に感じられてしまうのが、却って惜しい気がします。

 べたっ~と人間にまとわりつくわけでもなく、突き放しているわけでもない、カメラと登場人物たちとの距離感。そこに隙間を感じてしまいます。客観的にもなりきれない、監督と対象とのジレンマを感じます。

キャタピラー2.jpg そのもどかしさが、作品として昇華されれば、作品としてのまた別の意味の「凄み」が伝わってきたのかもしれませんが・・・。

 主人公が夫をリヤカーに乗せて、住んでいる村を回るシーンが何度も登場するのですが、このシーンには何重もの監督の意図が託されている気がします。しかし、寺島しのぶからは女としてのやるせなさだけが発せられていて、何重もの意味が、たった一つ意思に摩り替わってしまっているように、見えてしまうのです。
 
 若松監督は、寺島しのぶを使う事によって、ある意味、映画を興行的には成功させたかもしれないけれど、寺島しのぶの発散する情念は、ハンパじゃなく、この作品を凌駕してしまっている気がします。別の意味で、彼女に食いつぶされてしまった映画なのかもしれません。


・・・ 『キャタピラー』 概要と予告編を見る


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『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 とても面白くて、楽しめる、娯楽アクション大作でした。

 私は、静岡市にあるスクリーンサイズ 17.5M×7.5M(全国最大級)が売り物の静岡オリオン座で観たんですが、やっぱり、こういう作品は大画面で観たいよなあ、と納得でした。迫力が違うんだよねえ。

 で、作品ですが、よく考え抜かれ緻密に組み立てられた娯楽作です。

160 336061_005.jpg 一応、主要キャラクターたちは、おバカキャラの設定なので、成り行き次第の破天荒な行動ばかり取ってしまうんですが、それも全てしっかりしたプロットの上で大暴れしているんで、別に観ているほうは深く考える必要などなく、テキトーに観ていれば、あれよあれよとお話は、どんどんあらぬ方向に進展していって、あれれ~、何でこうなっちゃうの~?、なとど呆れながらも、嬉しくなる、とんでもないアクションの連続が、出迎えてくれるわけです。

 最後の最後まで、手を抜かずに、おバカキャラの奇想天外な大活躍を楽しめばいいわけで、こんな充実してるくせに、くだらないアクション映画こそが、娯楽映画の真髄なんじゃないかと、思ってしまう出来栄えなんですね。

 とりあえず、かつての人気テレビ・アクション・ドラマの映画化です。遥か昔のドラマなので、私はせいぜいきっと再放送あたりを1話ぐらいしか見ていなくて、まっ、殆ど覚えていないんです。(^^ゞ

 確か人気はあったドラマだと思うんだけど、記憶に残っているのは、ヨドチョーさんが、テレビでちょっと話をしているのを見た、という程度かな・・・。テレビ放送は10チャンネルだったような。

160 336061_008.jpg で、今回は当然ですが、キャストは新しくなっていて、元のドラマを知らない人の為に、このチームの「馴れ初め」というか「いきさつ」みたいなものを、映画の冒頭で見せてくれます。

 形としてはタイトル・クレジットの背景(?)で、説明してくれるんだけど、この「なれそめ」が、なんとも充実した演出になっていて、それだけでも十分楽しめるくらいに、どハデなアクションの連続・連続!です。

 で、タイトル・クレジットだけで30分かけています。呆れますね、この長さ。でも、凄い面白くて楽しめます。

 ここまで本題への導入を引っ張られちゃうと、なんか先行きが心配になってくるんですが、いやはや、本題はさらにスケール・アップして、複雑に絡み合った悪人同士の化かしあいに巻き込まれてしまうAチーム・・・、なんて展開なんですね。

160 336061_001.jpg 複雑に絡み合ったといっても、別にやっぱり、話は難しくはなくて、結局はおバカ・パワーで、強行突破しちゃって、ケリを付けたり、なかなかクール!な解決ってわけじゃないところが、いいんだよね。

 この映画、とりあえず、お話をてんこ盛りにスケール大きくしておいて、最後は、Aチームの破れかぶれの、度胸とど根性での力ずくで、カタをつけちゃうという、爽快な展開が押し通されるんで、嬉しくなっちゃうんだよね。

 はい、くだらなさなら、誰にも負けない、スゴ~イ彼らの大活躍です。

 猛暑をふっ飛ばすなら、快適な映画館で、この作品は最高!だと思います。

 でも、この映画を「なんか~、古臭い」なんて言われちゃうと、もしかしてそうかも~、と心配になったりします。「面白けりゃいいんじゃない」と、取敢えず反論しておきますが・・・。


・・・『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』 概要と予告編を見る


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『魔法使いの弟子』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 ディズニー・アニメの『ファンタジア』で、ミッキーが演じたエピソード「魔法使いの弟子」。そこから、イマジネイションによって生まれたのが、今回の『魔法使いの弟子』だそうです。

 製作準備段階では、どんどんイメージが膨らんで、創っている人たちは楽しかっただろうなあ、なんて想像してしまいます。

160 335983_001.jpg 主役は、現代の青年なんですが、その弟子を導く魔法使いをニコラス・ケイジが演じていて、基本ニコラス・ケイジが主演というか、メイン・パーソナリティって感じ。弟子のほうは、まだまだ魔法がちゃんと使えないので、狂言回しみたいな役割になっています。

 でも、映画冒頭の、これまでのイキサツってのも面白そうだったなあ。短時間でまとめて見せちゃうにはもったいない、なんて思いました。

 とりあえず、現代が舞台で、成り行きで強制的に魔法使いの弟子になっちゃう青年のお話なんで、今風のアレンジが、アチコチ施されていて、そこに細心の注意を払って創られている気がします。

160 335983_004.jpg とにかく、色々詰め込んでいて、面白く出来てます。詰め込みすぎて、主役が誰なのかプレちゃうし、どっしりした重みとかなくて浮ついている感じで、後にも先にも、な~んもないところが、惜しいんだけど、とにかく今のCG技術を使って見せ場はハデハデ、てんこ盛りです。

 とりあえず、これだけはハズせないよね、とばかりに、「ミッキーの魔法使いの弟子」を実写(パロディじゃなくてリスペクトね!) でも見せてくれます。ここは、かなり私は嬉しかったです。

 だから、それだけで、この作品は好きです。

 しかし、どうも、一本筋が通っていないというか、芯がないんだよなあ。エンド・クレジットを見ていたら、脚本が6人もいて、これじゃ仕方ないかもと納得した次第です。

 コメディ・タッチの魔法CG合戦映画、なんとも夏休み映画ぽくて、好きだなあ。(*^^)v


・・・『魔法使いの弟子』 概要と予告編を見る


タグ:Movix清水
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『借りぐらしのアリエッティ』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 主張はハッキリしているけれど、押し付けがましくなく、さりげなく、はかなくて、秘めやかな、清々しい作品だった。

 で、それだけだったりするんだけれど、そんなところが好きだったりもする、好感の持てる作品。

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 そう、あっさりと忘れてしまいそうなのに、きっといつまでも覚えていそうな、それはアリエッティの存在と似ている作品。

 この作品に何を求めるかは、人それぞれなんだろうけれど、私はかなり肩透かしを食らった感じだった。ジブリらしくないといえば言えるし、ジブリらしいといえば言える。その中途半端さが、この作品の最大の欠点なのかもしれないけれど、その中途半端さこそが、この作品の魅力だとも思える。

 ジブリはこうでなくちゃ、なんて過度の期待はしていないので、こんな清貧な(お話の)アニメも、ステキだと思ったりする。演出は美しい描画とともに、とても誠実な作品だと感じる。

 実は、お話はとってもシンプルで、あれぇ~と思うくらい、普通だったりする。いくらでも、お話を広げていける要素は詰まっているのに、潔いくらいに広げようとはしない頑なさが、見終わった後、嬉しくなってしまう。

 肩透かしを食らった、と書いたけれど、見終わった後、それでガッカリするはずだったのに・・・、何故かそれで良かったと思ってしまった・・・、私は。

 
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 脚本は、宮崎駿と丹羽圭子の共同ということになっているんだけど、本人が映画化したら、きっと全く違う作品になっていただろうし、全く違う脚本を何年もかけて推敲して、とんでもなく感動的で楽しく面白い作品に仕上げてしまったかもしれない。アリエッティの冒険譚として・・・。

 この『借りぐらしのアリエッティ』というアニメは、その序章なのかもしれない。極めて、慎ましやかな序章なのかもしれない。

 本編は、きっと創られないのだろうけれど、私は、この序章が、押し付けがましくなく、さりげなく、はかなくて、秘めやかで、清々しい、その慎ましさに、好感を持ってしまった一人です。

 結構、気に入っているし、好きな作品です。

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 ところで、少年の翔がアリエッティに、初めて会ったその場で、「君たちは滅び行く種族なんだよね」って言うんだけれど、デリカシーのかけらもないヤツだと思った。自分の病状のこともあって、やけくそな気持ちになっているとしても、それを言っちゃおしまいだよ。

 翔は、アリエッティたちの何を知っているんだと言うんだろう、単に憶測で言っているんだろうけれど、演出上、年齢の低い子供たちにもわかりやすくするためのセリフだろうとは思うけれど・・・。

 やっぱり、納得出来ません。一方的に決め付けて、相手がどう感じるかも考えない、そんな人間を連想させるあのセリフは、とにかくガッカリしました。惜しかったなあ、それだけは。

 

・・・『借りぐらしのアリエッティ』 概要と予告編を見る


タグ:静岡東宝
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『インセプション』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 予告編を観た段階で、かなり期待していました。というか、きっと好きなタイプの作品だと確信していました。

 何故、鑑賞が遅くなってしまったかというと、単にご馳走は残しておく性格だからです。遅れて観ても、いい映画は絶対いいはず! なんて勝手に決め付けていました。体調がいいときに、たっぷり楽しみたい映画なんです。(^^ゞ


 しか~し! あぁ、爽快感がないぞ~! 観ていてニヤニヤ出来ないぞ~! 全く「遊び」がないぞ~! 独りよがりのこだわりがないぞ~!

 私が何を、求めていたかって、そういうことです。「プリズナーNo.6」を思い出しました。なんか、どっかで通じている気がする。気持ちは・・・褒めているつもりです。(^_^)


160_curlingCity.jpg 夢の中の出来事を描いた作品です。相手の夢の中に入り込んで、画策してスパイする、意識を植え付ける・・・。なんて、ステキな発想なんでしょう。

 だから、最初から決めてました。なるべく深くは詮索しないで、提供される映像を素直に享受して、展開されるお話に、まんまと騙されてやろうと・・・。

 しかし、お話は、どんどん暗くなっていきます。何層にも設定された、夢の中の夢・・・、のなかの夢なんで、とりあえずは、一見深~い場所(?)で、物語は繰り広げられます。

 で、「どこでもドア」みたいに、夢の夢から、夢の夢の夢へと行ったり来たり、なんてのをかなり軽々と登場人物たちは実践します。

 トラウマがあるらしい主人公の、ディカプリオも苦悩しながら、夢の空間で、追い詰めたり、危機に陥ったり、仲間を助けたり、画策を弄びながら、なおかつ幻想を見たり(誰の夢?)するんです。

 最初から、「夢」が主題の作品だとわかっているんで、「何でもあり」だと納得していたんですが、な~んか、「何にも無い」んだよねえ。

 とりあえず、事件は起こっているらしいんだけど、所詮、人様の夢の中の出来事。

160_curlingCity.jpg  冷静に見ればかなり危険な行為を職業としているはずなのに、余りにいい加減なディカプリオの職業に対する姿勢。現実の諸々を引きずって、仲間まで危険な目に会わせちゃってるディカプリオ。

 確かに、作品を面白く展開させているのはディカプリオの苦悩なんだけどねえ。

 『シャッター・アイランド』のほうが、狙いがハッキリしている分、可愛げがあったよなあ。この作品は、なんか適当にお茶を濁されて、あっけらかんと「やり逃げ」されちゃった感じ(そこが却って、私は好きなんだけれど)。

 映画的な迫力とかを維持するために、常にホラー映画の「脅し」みたいな音楽が、ハイテンションで流れています。そう、常時流れているんで、メリハリもあったもんじゃない。いつの間にか慣れちゃって、だらだらと感じてしまうようになる。

 ラストに何を持ってこようとも、ディカプリオ様の夢について、余計な解釈はしたくないと思ってしまった。

 望んでいるものが夢で見られるんなら、夢の世界で生きていくのも、これまたステキなことなんだろう。なんて思ったら、この映画の場合はマズいんだろう。一応、常識の範囲で鑑賞してこそ、この作品の意味はあるんだろうから・・・。

 私が求めていた作品とは、正反対の位置にある作品でした。外見は限りなく、好みなんだけれどねえ。これでも褒めているつもりです。画期的な作品だとは思うけれど、そんなことよりも、結局全部「夢」でしたで、逃げないところが、とっても「素敵!」な映画です。

 本当はアクションシーンだって、CGだって本格っぽいくせに、何故か中途半端にしか感じられない、その監督の(意識的な)スタンスのブレが、映画全体を娯楽超大作ではなく、とっても個人的な作品に見せてしまうところなんか、なんとも魅力的な映画だと私は思います。


追記:

 ディカブリオは、最初から「あっちの人」なんだと思います。「コマ」そのものがディカプリオなんだと思います。そして、「コマ」を回し続けたいのは、私であって、監督であって、この映画そのものが「コマ」なんだと思います。
 

・・・『インセプション』 概要と予告編を見る


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『トイレット』 (2010) [映画 (2010 鑑賞作品)]

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 『トイレット』を、Movix清水で観てきました。とても不思議な映画でした。

 一見捉えどころのないお話のようにみえるんですが、何故かここちいい、何故か安らぐ、何故か癒される作品です。

 とりあえず、舞台は外国。出演者も外人ばかり、唯一の日本人は もたいまさこ だけです。でも、監督は日本人。交わされる会話は、英語です。ですから、字幕スーパーを頼りに映画を観ることになります。

トイレット2.jpg さらに、もたいまさこのセリフが、ないんです。会話しないんです。ただ黙って、そこにいるだけです。

 もたいまさこ演じる「ばーちゃん」は、登場人物の3人兄弟の祖母という設定です。お母さんの親なんですね。でも母親の葬式から、映画は始まるので、やっぱり日本人は一人だけなんですね。


 この映画は、邦画なのか洋画なのか、悩むところなんですが、観ていてここちいいんで、「そんなのどっちでもいいんだよなあ・・」という気持ちになります。

トイレット5.jpg そう、この作品はいっぱい「そんなのどっちでもいいんだよなあ・・」と最後には思ってしまうエピソードが出てきます。登場人物たちは、いろいろと悩みを抱える年頃の若者たちばかりなんですが、結局、「そんなのどっちでもいいんだよなあ・・」というところに、お話は落ち着いちゃうんですね。

  家族のお話です。絆の映画です。でも、底に流れているのは、「拘らない」、「素直になる」、「自分に正直になる」というのが、テーマみたいに感じます。というか、今までと同じ、一貫した監督のテーマなのかもしれませんが・・・。

 「拘らない」と「拘る」の絶妙の匙加減で、生きている事が素晴らしく感じられる、そんな思いにさせてくれる作品です。

トイレット4.jpg まぁ、とにかく、外国の人の日常生活描写を、淡々と綴っていく雰囲気なんで、どこかでダレてくるとか、飽きてくるとか、なりそうなんですが、不思議とそうならないんですね。

 きっと作品に、しっかりとした「芯」があるからではないかと思います。

 ドカ~ンとくるわけではない、しみじみとした作品です。外人さんばっかなのに、しみじみしちゃうって、なんか、とっても不思議なんだけれど、それが魅力の、好感の持てる映画になっています。

 ただ、誰でも楽しめるかとなると、私は自信がありません。

 でも、私はとても楽しめました。外人さんが主人公なのに、まるで小津映画でも観たような気分です。

 やっぱり、とっ~ても、不思議な映画なんです。(*^^)v


・・・『トイレット』 概要と予告編を見る


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